バブル時代の話

私が会計事務所で働き始めた頃、時代は超好景気。そうです「バブル時代」です。この時代の税理士に求められるスキル、それはまさに「節税」でした。

「今年は利益がでそうだから、クルマ買い換えていいですか?」なんて会話を税理士と社長がしていたことを良く覚えています。あの頃は利益が出ることが普通でした。

だから「税金払うくらいならベンツ買っちゃおう!」「得意先を接待してキャバレー行って遊んじゃおう!」(当時は「キャバクラ」って言葉はなかったと思います。)なんて経営者が、当時はたくさんいました。

この頃は、来年もまた利益が出るだろうという予測が当たり前。どの会社も右肩上がりの成長の時代です。

とはいうものの、そんな時代でも税金事情は変わりません。

ベンツは節税?

1,000万円の法人の利益で400万円税金を納税すると、手許(手元)に残る資金は600万円。

この600万円は来期以降の会社の新たな事業のために活躍してくれる大事な事業資金です。

でもベンツを買ったり接待で遊んだりして1,000万円使ってしまったら、手許資金はゼロ円になってしまいます。

おまけにベンツは、全額が一度に費用にはなりません。

◆例えば900万円のベンツを購入した場合

減価償却といって乗用車は6年かけて費用にします。
よって初年度経費に出来る金額は

900万円×0.319=287.1万円

資金は900万円出て行きますが、
経費になるのは287.1万円です。

差引612.9万円には
やはり法人税等の納税が発生するのです。

来期新しい商売のために投資をしようと思ったら、会社はどこかから資金を調達、つまり借入をしなければならないのです。

浪費と節税は違います

最近の若い経営者の方はお金の使い方が非常に慎重で、買い物をしたがらない傾向にあります。

危ないのはアラフィフ(この言い方古いですが)以上のバブルを少し体感している方です。

そして少数派ではありますが、経営を先代から引き継いで間もない方。「これで会社のお金が自由に使える!」と勘違いしている方がたまにいます。

自分で稼いだ金をどう使ったって自分の勝手だろうと考えている方。

→違います。社長のお金と会社のお金は切り離して考えてください。

資金が足りなくなれば銀行が貸してくれると思っている方。

→危ないです。金融機関はいつ急に態度を変えるかわかりません。

気をつけてください。

無駄なお金を使う節税(浪費)は会社を疲弊させるだけで、本当の節税ではないのです。