本当に青色申告がおすすめ?
通常、よく目にする起業のためのマニュアル本には「税金の申告は青色申告がおススメです。」と書いてあります。
○記帳をして貸借対照表と損益計算書を記載して添付すれば所得から65万円の控除をすることが出来ます。
○もし、赤字が出てもその赤字を来年に繰り越して、来年の利益と相殺することが出来ます。
○特別償却など税制の有利な特例が受けられます。
など、メリットを紹介している本がほとんどだと思います。
しかし、開業当初から青色申告をすることが必要でない人、向かない人も沢山いるのです。
青色申告がいらない人、向かない人
例えば、従業員を雇わず自分ひとりで起業する人で
○今、財布の中がぐちゃぐちゃでキチンと整理されていない人。
○昔から小遣い帳、家計簿などをつけたことがない人。またはつけても三日坊主で長続きしない人。
○メモをする習慣の無い人。
○子供の頃、夏休みの宿題を毎年ギリギリでなんとか間に合わせていた人。間に合わなくても平気な人。
こんなタイプの人(ここまで酷くないけれど、どちらかというとその傾向がある人)にはあえて「白色申告」を薦めることがあります。
会計初心者に青色申告は難しい
承知の方も多いと思いますが、青色申告では「複式簿記」の方式による記帳を完備させなくてはいけません。
「最近はパソコンの安くていいソフトがあるから心配ないですよ。」と普通の税理士は言うと思います。
「記帳代行しますよ。」と営業されることもあります。
しかし会計初心者にとって青色申告の要件を完備する記帳を行うことは大変難しいのです。税理士に頼んで記帳代行すればその分手数料がかかります。
青色申告のメリット以上の手数料を払ってまで無理に青色申告にこだわる必要はありません。
青色申告のメリット上、さすがに起業者の味方の私の税理士事務所でもタダで記帳代行を請け負ってはいません。それは記帳指導は行いますよ。
でも結果的に複式簿記での記帳が難しい方も中にはどうしてもいます。
青色申告にはメリットもありますが、その分、帳簿に不備があったときはペナルティも重くなります。
白色申告なら「すみません。忘れてました。」で済むことも、青色申告だと不正があったとみなされて重加算税の対象になることもあるのです。
青色申告が有利なパターン
難しい複式簿記での記帳を行っても青色申告の方が有利であるのはこんなときです。
○初年度から1,000万円以上の売上の見込みがある場合。
○大きな赤字を出す見込みがある場合
○大きな利益が見込まれ、家族に給与を出したい場合
○記帳に自信があって、綿密な節税対策などが必要と思われる場合。
などです。
起業をする場合、ただ薦められるままに青色申告を選択せず、ご自分の性格と事業の内容をよく照らし合わせて、慎重にどちらがトクか考えてみましょう。