税理士は「能力型・コンサルティング」

昨日、面談させていただいた経営者の方に嬉しいお言葉をいただきました。

「私は今まで”税理士は安い方が良いから、帳簿整理と決算書だけ作れればそれだけでいい。”と思っていたけれど先日、あなたの話を聞いて考えが変わりましたよ。

経営の話は自分が一番わかっているから、相談相手なんて要らないってずっとそう考えていたけれど、人の話も聞いてみるもんだなぁと。

これもなにかの縁だから、セカンドオピニオンとして宜しくお願いします。」

この経営者の方は都内で40年以上サービス業の法人を経営され、いまでは新業態立ち上げ全6社の法人を切り盛りされている凄腕の社長です。

私がセミナーを開催している「ビジネスモデル・デザイナー講座」では、ビジネスモデルには型があることを論点の核としていますが、

その型の中で税理士業は「能力型・アウトソーシング」に分類されています。

私としてはこれがとても不満で、私のやっている税理士業務は「能力型・コンサルティング」です、と代表の中山先生にはことあるごとに申し立てていますが、未だにかわることはなく。

税理士の仕事は、本来会社で集計すべき経理業務の代行、過去の数字の集計と税額計算だけと思っている社長が多いのです。

時代の変化に対応しない税理士たち

正直、長い間税理士は、簿記ができて試算表を作成できる、国の決めた申告書のフォームにキチンと数字が入れられる、ただそれだけで「先生」などとよばれ、

なおかつ、それなりの顧問料がいただける、というありがたい業態の中で成り立っていました。

社員一人に1台以上のパソコンを設置し、誰でも簡単な操作で入力の出来る会計ソフトが世の中にあふれている社会になっても

何も変わらず、20年前と同じ作業しかしてこなかった税理士が沢山います。

今頃になって、AIで仕事が無くなるとか、何かに特化した税理士事務所にならなければと焦っても経営者の心はとうに、離れていってしまっています。

新しいこと、経営者・顧客のためになることを忘れた「茹でガエル」そのもの。

※茹でガエル:居心地の良いぬるま湯のような状態に慣れきってしまうと、変化に気がつけずに致命傷を負ってしまうというビジネス上の教訓

お客様に見捨てられる仕事になってしまったのです。

当たり前のことですが、お客様に貢献して「この人にならお金を支払う価値がある」と思っていただけなければ税理士の商売も成り立ちません。

世の中に必要ない職業になってしまうのです。

お客様・経営者の方の役立つ仕事をするためには、私たち税理士自身も常に自分を磨き研鑽し続けなければいけない。

そして、縁あって出会ったお客様の事業を必ず成功させる使命があると感じています。

私が最初に税理士事務所に勤めたころはちょうどバブルの真っ只中。どの会社も利益をあげ、売上も右肩上がり。

役員の報酬も年々高額になり、出来る税理士の仕事とは「税金を安く申告すること」でした。

税理士先行のキワドイ「節税策」が横行し、グレーゾーンなどという言葉を操る税理士がもてはやされたのです。

○儲かったら使えばいい。
○資金が足りなくなったら、銀行から借りればいい

そんな経営の姿勢が、税理士の指導が日本経済を衰退させたことは、みなさんの目からみてももう明らかな事実ですね。

今の税理士に求められるもの

しかしそれから30年。時代は変わりました。

法人の半分以上は赤字申告。名だたる上場企業でも法人税の納税のない企業も沢山あります。

そんな今でも「節税に特化!」「利益圧縮の金融商品」を紹介するそんな場違いな税理士もまだまだ沢山います。

今、税理士に求められる職務は、企業経営の安定・継続できる事業経営へ導くことです。

また、景気などという外部環境の変化に動じず、正しい価値観をもった経営者を育成すること。

そして、少子高齢化という今まで経験したことのない日本の未来に貢献できる企業の経営を育むこと。

biz育の「育」にはそんな願いも込められています。